梅都工房はこれまで、香炉や仏具、置き物などの伝統的な比較的大型の鋳造工芸品を製造してきました。
しかし近年の社会の急速な変化と、それに伴う大衆文化・消費傾向の変化に伴い、
金属工芸品に対する需要は大きく変わってきました。
そのような状況の中、梅都工房は伝統的な蝋型鋳造技術を生かしつつ、
かつ最新の技術トレンドを取り入れた、小さいサイズの精密な蝋型鋳造品の製造を開始しました。
伝統的な意匠に現代的なセンスを取り入れ、それを緻密なサイズで実現した製品は
高く評価され、数々の賞を受賞しております。国内のお客様のみならず、海外のお客様からも
品質と意匠について高い評価を頂いております。
ここではその製作工程の一部をご紹介致します。

製品によってはパーツを別の蝋型として作成し、鋳造後に組み合わせます。
原型の製作は蝋型鋳造の根となる工程です。
考えを形にするために、試行錯誤を繰返し造型を行います。
梅都工房の作品は非常に小さいサイズのため、
高度な器用さが求められます。
3次元の造型はバランスが難しく長年の熟練が求められます。
また、土でできた鋳型やそこに流し込む金属の性質を熟知した上で
最適な造型に調整する必要があり、長年の経験が必要です。
原型から排他対称の雌型を作ります。
雌型の存在が、鋳造品の多量生産と製品間での精度をもたらします。
最近の雌型の素材には、ゴムはやシリコンなどが使われます。
鋳物生産の度に使われるものなので、一定期間で疲弊し、
新たに作りなおす必要があります。

内側はゴムやシリコンなどの柔らかい素材、外側は木や陶器などの固い素材でできています。

底から伸びている部分が湯口です。
雌型から排他対称の蝋型を作ります。
蝋型は素材が異なるのみで、完成品とほぼ同じ形をしています。
完成品と異なるのは湯口(金属を流し込む道筋)を取り付け、
細かいパーツなどは別の蝋型とする点です。
製品によっては蝋型の表面に、彫金の溝を施すことがあります。
蝋型に土を盛って鋳型を作ります。
鋳型には金属を流し込むための鋳口や
空気が抜けるための通気口を設けます。
完成した鋳型を窯で焼き込むことで、
超高温の金属の流しこみに耐えられるようにします。
この過程で蝋型は溶けてなくなり、雌型と同じ受型になります。

金属の通り道である湯口を設けるため、鋳型は複雑な形になります。

超高温の金属がこぼれて可燃物に触れると短時間で燃え上がるため非常に危険です。
超高温の溶鉱炉で金属を溶かし、
流しこみ用のるつぼに取り分けます。
この作業は非常に危険を伴うため、
長年の熟練と慎重な動作が必要です。
また、金属が冷めると鋳物の品質に影響が出るため、
短時間で段取りよく進める必要があります。
流し込んだ金属が十分に冷えたら、
鋳型を割って鋳物を取り出します。
鋳物には湯口やバリが付いており、
また表面もザラザラとして光沢がありません。
仕上げのため湯口やバリなどの余計な部分は全て取り除きます。

鋳型から取り出し直後の鋳物には湯口やばりなどの余計な部分が残っています。


鋳物のザラザラの表面を磨きます。
梅都工房の製品は非常に小さく、
非常に繊細な工程であるため指を削ってしまうことも少なくありません。
鏡面仕上やマット仕上を施す製品もあります。
パーツを加工して組み合わせる工程や、
線状の金属を曲げたり、穴を開ける工程もあります。
また、ハンダで溶接する製品もあります。
製品全体のバランスに影響するため、
熟練の職人が慎重に作業を行います。

完成品:干支龍/立龍(銀製)
梅都工房は金属に鮮やかな着色を施すための独自の技術を
開発しました。金属への着色は非常に難しく試行錯誤の末、
現在の製品の仕上がりに至ることができました。
「本当に生きているように見える」「本物の植物のように見える」
など、お客様からも非常に高い評価を受けております。
梅都工房は、植物の葉脈の表現に非常に力を入れています。
葉脈の自然な表現が、植物の造型にリアルさをもたらします。
葉脈の色付けには特殊な着色料を用いています。

完成品:帯留/桜五葉(黄銅)

完成品:帯留/紅葉三葉(黄銅)